研究室概要

研究室の目的

プロジェクトデザイン研究室では、この5つをベースとした総合力を実践で鍛えていくことを目指しています。

1デザイン知識・スキルを持って伝える 2問題発見 課題形成 3チームで目標達成する(プロジェクトマネジメント) 4コミュニケーション 5(人として基本的な)ふるまいと型

問題発見・課題形成

デザインにかかわらず、社会に出てからの仕事は全て問題発見・課題形成につきます。 問題を見つけるためには深く洞察する必要がありますし、表面的なことではなく本質を捉える力がないと課題形成はできません。多くの人が「問題」を指摘できても、それを「課題」に置き換えることができていません。課題形成力は訓練すればできるようになる部分です。「やるか・やらないか」の部分で、そのやり方を学ぶことが大切です。ものごとは、企画や設計、デザインを行う前に課題を形成するところからスタートします。まずは「問題発見」「課題形成」を「わかったつもり」で終わらせずに「できるようになる」ことが必要です。

チームで目標達成する(プロジェクトマネジメント)

チームで目標達成するということは、プロジェクトマネジメントの考え方を実践することです。プロジェクトには背景・目的があり、全ての仕事には「目標」と「納期」があります。いつまでに?何を達成したいのか?プロジェクトが大きければ関わる人も多くコミュニケーションは複雑になります。自分ひとりで遂行するのではなく、周りの人を巻き込んでゴールを達成することが求められます。そのためにプロジェクトをうまく進める知識とスキル、そのプロセスを学びます。

コミュニケーション

チームで目標達成するということは、人と関わりコミュニケーションをとっていかなければなりません。コミュニケーションという言葉は「ふわっとしていて、とても曖昧な言葉」ですが、実践にはちょっとしたコツがあります。そのちょっとしたコツを科学的に学び、コツコツと実践を積み重ねていくことで苦手意識の克服や人間関係のストレスから解放され、さらにプロジェクトを成功に導くことができるようになります。

デザイン知識・スキルを持って人に伝える

デザイン科の強みは「デザイン」という専門軸を持っています。課題形成し、プロジェクトを遂行し、その過程や成果物は「相手にきちんと伝わる」「相手に共感してもらい、行動を起こしてもらう」ことが必要不可欠です。しかし、中身がないのにかっこいいデザインにこだわっても相手には通じません。課題形成をしっかりした土台の上で、デザインのスキルを磨き目標達成していくことが重要です。

(人として基本的な)ふるまいと型

礼節とは、「礼儀」と「節度」のことです。相手のことを考え、敬意を払い、感謝をし、それをきちんと言葉や行動で示せることがとても大切です。「当たり前だよ」と思うかもしれませんが、これがきちんとできること、人として恥ずかしくない振る舞いができる社会人になってほしいと思います。

研究内容

「プロジェクトをデザインする」

新しい価値を生み出すために世の中の「問題」を「課題」に置き換え、
プロジェクトを創造し、様々な人を巻き込み目標達成していくことに取り組みます。
プロジェクトを設計する(=プロジェクトマネジメントの考え方)ことと、
その過程をもデザインしゴールに導くことができるリーダーの育成を目的として活動しています。

最終的なアウトプットがデザインと捉える人も多いですが、「デザイン」という言葉の意味するところはとても幅広いです。
目に見える部分(色や形、機能など)は目的を達成するためのひとつの手段です。
しかし、これからの時代「どのように社会問題を解決していくのか」という全体をデザインと捉え、高い視点と広い視野で目標達成に取り組むことが求められます。例えば、Webやグラフィック、プロダクトデザイナーもユーザーの隠れた要求を引き出し、スケジュールや品質管理を行いながらプロジェクトを遂行し様々な人を巻き込みコミュニケーションをとってゴールを達成するなど仕事は多岐にわたります。
すべての仕事に「納期」と「目標」があり、決められた期日までに目標を達成する仕事の進め方を世界では「プロジェクトマネジメント」と呼んでいます。本研究室では、実際のプロジェクトデザインを通じて課題解決能力を伸ばし、実践力を鍛えてることで、社会で活躍できる人材を輩出することを目指しています。

教授紹介

西田絢子 博士(工学)

千葉工業大学 創造工学部 デザイン科学科 准教授

千葉工業大学プロジェクトマネジメント学科卒業
名古屋工業大学大学院工学研究科 博士後期課程 社会工学専攻 卒業

職歴

株式会社インクス(現:SOLIZE株式会社)に入社。
従来45日かかっていた金型の製作工程を45時間に短縮するプロジェクトに従事。自ら現場で段取りを行い加工機・成形機を動かしモノづくりに携わる。
その後、日産自動車株式会社(車両生産技術本部生産技術部)に転職し、一発良品実現のための技術伝承プロジェクトを推進する。約3車種にて1億円の品質効果(コストダウン)により日産賞を受賞する。
株式会社アスプロスを創業し、代表取締役に就任。社会人管理職に対しプロジェクトマネジメント研修やプロジェクトワークアウト(実務を通じたプロジェクトマネジメント実践教育)を通じて次世代リーダーの育成を行う。
現在、千葉工業大学創造工学部デザイン科学科にてプロジェクトデザインを中心に新しいデザインの観点で様々な社会課題解決および研究を行う。
資格:米国PMI認定 PMP(Project Management Professional)
(財)生涯学習開発財団 認定コーチ
趣味:車・ドライブ・茶道 表千家講師

研究テーマ

デザインプロジェクトにおけるP2M実践方法

様々なデザインプロジェクトにおけるP2Mの実践やデザイナーと企業が実プロジェクトを協同できるプラットフォームの開発・研究を行う。

・プロセスエンジニアリングの実践

モノづくりプロセスにおけるDXの推進およびIoTやAIを活用したプロセス開発を行う。

・人材育成プログラムの開発

サステナビリティ実現に寄与できる人材の育成方法と事例による検証を行い、人材育成プログラムの開発・導入を行う。

・産業クラスターにおけるP2M実践方法

中小企業の産業クラスターについてプログラムを実践するときの前提を明らかにし、プログラムの価値を達成するP2Mの実施方法について提案を行う

・サステナビリティ実現のための新規事業創生(地域創生)プロジェクト

新しいサービスを生み出す発想方法についての研究を行う。また企業の経営戦略の策定や組織改革まで幅広く提案を行う。